Chako

2019年12月20日3 分

リテール金融:AIによって減る仕事、増える仕事 (2)

昨日前半のブログを書いた、「AIによって減る仕事、増える仕事」の続きです。

脅かされる仕事、残る仕事

それでは、どんな職種がAIによって脅かされ、またどういった職種が生き残るのでしょうか。

このプレゼンテーションではリテール金融機関の職種を、AI・ロボットとの関係に関して3つのカテゴリーに分けています。

Forrester Researchプレゼン資料より

まず、機械化されされやすい、いわゆるマシンセントリックの職種。これには英語で「キュービクル・ワーカー」といわれる一般的な事務職のホワイトカラーなどが入ります。

この一般事務職は一番機械に置き換えられやすく、約73%が自動化されるとしています。

例えばコールセンターの業務にはすでにかなりチャットボットが利用され、かなり人手の省力化、自動化が進んでいます。

ただしコールセンターの業務の全てがチャットボットになってしまうのではなく、ロボットに処理しきれない複雑な問題などに高度な知識を持った顧客サービス係が時間をかけて対応できる、と言うふうに現状では変わってきています。

二番目のグループは機械と人間のコラボレーションとなる職種。これは全く機械に置き換えられるわけではなく、機械と人間の協業が行われている。

これには例えばロケーションベース、つまり現場作業員等も入ります。例えば小売店の棚に商品を陳列し、足りない商品を補充する作業。この作業自体はまだ機械化されていませんが、どの商品が減っているなどのアセスメントはすでにオートメーション化が進んでいます。

金融業界で言うと、例えば損害保険の査定は、現時点では査定係が現地に赴いて調書を作るのが一般的ですが、近々カメラや航空写真を使って、人間の作業量が少なくなる。効率化が予想されている領域です。

1番上の段階が、きわめて人間の能力が要求される分野。これは現時点ではまだまだ機械による置換はあまり進まないと予想されています。例えば非常にヒューマンタッチが要求される、アドバイザーとしても高度な職種。それからクロスドメインと言って、複数の分野の専門知識を有するプロフェッショナル。例えば営業で言えば、ソリューション営業などがここに当たります。

それに、デジタルエリートと呼ばれるエンジニアリング・プログラマーの職も一般的にはAIによって脅かされないことが多い。ただしプログラマー中でも単純なコーディング作業はかなりAIやロボットに置き換えられ、逆に機械学習などのAIを作り出す職種は増えると予想されています。

金融機関のとるべき対応

それでは、金融機関側はこの傾向にどう対処すれば良いのでしょうか?

このレクチャーでは4つの大きなキーポイントをあげています。

まずこれからの、機械と一緒に仕事をするのに適した人材の採用。こういった人材を「フューチャーフィット(Future Fit)」、つまり「未来向きの人材」といっていますが、例えばロボットやプログラムを使って仕事をするのにアレルギーのあるような人材は向かない。

2番目が従業員のその会社で働く意欲、エクスペリエンスをなるべく向上させること。これはAIの導入などによって環境が変わってもその職場で対応し続けると言うことへの意欲には不可欠。

3番目は、人間と機械が協業するのに効率的なチーム及びシステムを作り上げること。

4番目が顧客のニーズを極限まで組み上げること。

これらの対策が欠かせないとしています。

まとめ

AIやロボットによって職が奪われると言う事は、奪われる可能性のある従業員側からも、また、どうやって組織を脅かさずに機会を導入するかを考える経営陣にとっても頭痛の種でしょう。

しかしAI化の流れを逆に戻す事は無理。今はまだ対処しなくて良いと思わず、このレクチャーで取り上げている2025年に向けて、少しずつAIに対応できる人材・組織・システムを作り上げていくことが今の1番の課題と言えるでしょう。

#フィンテック #AI #ロボット #金融サービス

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