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2021年9月28日4 分

企業成長には、「コミュニティ」をターゲットとすることが重要

最終更新: 2021年12月13日

企業の成長のためには、「対象顧客セグメント」を正しく把握することが欠かせませんが、その「セグメント」を特定する上で注力する「コミュニティ」を持つことが、ますます重要になっています。

その理由は、マーケティング活動を一箇所に集中させることができ、全体的に分散することがないからです。

今回のブログ記事では、ビジネスに特化した「コミュニティ」を持つことのメリットと、シリコンバレーの成長企業がキーとなるコミュニティを発見した過程の一例を、ヒントとしてご紹介します。

Photo by Hannah Busing on Unsplash

企業が注力するコミュニティを持つべき理由

コミュニティとは、共通の関心事や価値観、目標によって互いに結びつく人々の集まりのことです。

成長企業にとっては、より多くの顧客や適切なパートナーを見つけるために、重点的に取り組むべきコミュニティを持つことが重要です。

シリコンバレーを中心としたベンチャー企業の成長過程の多くでは、「広く浅く、多く」のユーザーがいるよりも、狭い範囲でも「熱狂的なファン」を早いうちに確立したことが、その後の急成長に繋がってきました。

横割りから縦割りへ

以前のマーケティングにおいては、ターゲット層を年齢層や性別などでざっくり分けることが普通でした。例えばある製品やサービスのターゲットは「30~40代の男性」というような切り口です。

しかし顧客が多様化し、マーケティング上のデータの利用も一般的になっている今、こういったざっくりとした切り口では、不十分になってきていると言えます。ターゲットの把握が不十分であれば、ターゲット層を絞った競合他社のマーケティングに遅れをとってしまう可能性もあります。

米国の金融業界の例では、今までは米国内に数千ある地方銀行・信用金庫などが、その地域に密着した営業を行ってきました。

しかし最近、フィンテックと呼ばれるテクノロジーを駆使した新しい金融サービスを行うベンチャーの台頭、また、コロナを経てそもそも銀行の支店へ行く必要のない業務が大半となってきた今、こういった地域割りや横割りでの営業ではなく、特定ユーザーの特色に特化した商品やサービスを提供する例が増えています。

その特定ユーザーの、より特色を絞られた例が「コミュニティ」です。

このコミュニティに特化した一例としては、比較的新しいフィンテックのネオバンクである「Purple」という銀行が、障害を持つ顧客に特化しています。障害者においては、心身上のハンディキャップという特色もありますが、もう一つ連邦政府や地方政府からの補助金を最大限に活用し、生活資金を補う必要があるというニーズもあります。Purpleではこの支援に特化しています。

画像:Purple

ターゲット層の見つけ方:LinkedInの例

上記「Purple」は、設立当初から障害者という「コミュニティ」への特化を決めていたわけですが、一方で現在成功し大企業となっているシリコンバレーの急成長ベンチャーでも、初期にはなかなか中心となるユーザー層を確立できずに苦労したという例はたくさんあります。

Purpleのようにコミュニティへのフォーカスが突破口になった例としては、ビジネス向けSNS最大手の「LinkedIn」があります。

LinkedInは当初、著しい成長が見られませんでした。たくさんのユーザーが一度は登録しますが、その後ほとんどサイトを見に来ないことでリテンション(保留)率が非常に低かったのです。

そこで顧客データを解析したところ、1つのユーザーグループが非常に頻繁に使っていることが判明しました。

それは「リクルーター」のコミュニティでした。

そこでLinkedInは、このリクルーターのグループに注力し、採用目的のために使いやすい機能をいろいろと準備することで、このグループが最大のユーザー、しかも有料で利用するユーザー層となり、その後の同社の収益の伸びに大きく寄与したのです。

終わりに

顧客の志向が様々に変化し、またデータの活用によりマーケットが細分化できるようになった現在、昔ながらの地域や年齢層だけで区切ったマーケティングでは十分ではありません。

この記事がコミュニティ構築の力と、ビジネスの成長に少しでも役立てば幸いです。

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