chako2

2020年9月11日4 分

Wealthfrontと「自動運転マネー」

先週、サンフランシスコで主催されたオンラインのミートアップ(オンラインなのにサンフランシスコ主催、というのも考えてみると変だが)でWealthfrontの創業者兼CEOであるAndy Rachleff氏の話を聞く機会があった。

ミートアップの動画はYouTubeにアップされてます

WealthfrontといえばBettermentと並び、いわゆる「ロボ・アドバイザー」と呼ばれる、自動化した投資アドバイザー(資産運用)の草分けとして知られている。

ロボアドバイザーはご存知の方も多いと思うけれど、既存の人間のファイナンシャルプランナーと比較して格安な運用料金で個人向けのパッシブな資産運用を行うサービス。

Wealthfrontは2011年創業だが、このサービスが急激に伸びたことは、既存の資産運用業界に衝撃を与えた。

顧客ターゲットは比較的若い。Rachleff氏によれば現在のターゲット層はおよそ25から40歳位の年代層。今後何年かの間にこの年代層の市場サイズは$10 Trillion (1ドル100円換算で100兆円)にも上るという。

このミートアップのタイトルは「Self-Driving Money」だったが、最近何度か目にするようになった言葉で、Wealthfrontの造語であるという。

セルフドライビング・カーはもちろん、自動運転車のことで、「セルフドライビングマネー」は自動運転マネー、ということになる。

ロボアドバイザーは資金の運用を他人に頼らず、「セルフ」にするところから始まったが従来の常識で言えば、ロボアドバイザーではユーザーが自分の退職時までに貯める資金目標、それまでの年数、どのくらいのリスクを取れるかなどを設定し、後はロボアドバイザーが自動的に投資先を配分されるしてくれるという仕組み。

新しい「自動運転マネー」

しかし現在、新しい意味での「自動運転マネー」の範囲ははるかに大きい。

例えば、上記の、「自分で貯めたい目標」を設定するのではなく、逆に今のライフスタイルを保つにはいくらいるか。また、毎日持っている資金のうち本当に必要な部分を除いて残りの余剰資金は自動的に、その時点でリスク勘案して一番リターンの効率が良い投資先に、自動投資してくれる。

また、有料の駐車場に駐車した際に、お財布やクレジットカードを出してチケットの発行機に入れて切符を買う、などという作業をせずとも、駐車したら自動的に払ってくれるようなシステム。

そんなイメージらしい。

Wealthfrontブログより著者改定

そのためには、ひとつの銀行、またはカード会社のような、中心的な金融機関だけの取引では無理で、様々な金融・支払いサービスプラットフォーム、プロバイダーとの間の垣根が取り祓われ、そ

ういったサービス間で自由に資金の振り替え、取引やサービスが行われることが必要である。

「ハブアンドスポーク」から「Point to Point」へ

現在の金融取引は「ハブアンドスポーク(Hub & Spoke)と呼ばれるモデル。

ハブという中心があり、これが現在で言うと銀行の普通口座である。そこからスポークという形でいろいろな金融サービスが派生してつながっている。

例えばシティーバンクの口座を中心とし株式投資にはシティーの口座から証券口座に資金を移動してから投資、友人に送金の場合はまたシティー口座をVenmo(P2P送金アプリ)連携させて送金、というように。

このように現在では、一旦銀行の口座を通じてユーザが自分で、たの金融サービスとつなげたり資金移動する必要がある。これが、近い将来そういった垣根がなくなり、別々の金融サービスプラットフォーム間で直接に資金移動・取引が可能な、上記の図でいうとPoint-to-Pointというシステムになる、と予想されている。

ハブアンドスポーク・モデルではすでに、フィンテックの代表的プレイヤーであるPlaid(プラッド)などが仲介し、フィンテックのサービスと銀行口座間をシームレスにつなげている。

これから一歩(というか数歩?)すすんで、銀行以外のフィンテックサービス同士がAPIを通じて自由自在につながる世界が来る、という予想。

この分野のスタートアップ

ここで活躍すると思われるスタートアップには現在AtmicAstraCanopyなどのスタートアップが有望だと言われている。

これらが、Wealthfrontと並んで、お金の未来に「自動運転」が登場する時代の、まず最初の先端プレイヤーとなるだろう、ということです。

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