Chako

2020年3月26日3 分

金融DXで一番易しいこと、難しいこと

最終更新: 2020年4月21日

昨日から金融業界DXのオンラインイベントであるBanking Transformation Weekでいろいろなセッションを聞いているのですが、昨日第一日目の中で参考になったのは、
 

 
Digital Golden Rule
 
デジタル化の金の法則
 

 
という、DXの基本法則を開設したセッションでした。
 

 
これはファーストコマンドファイナンシャルサービス (First Command Financial Services) と言う米国の金融機関のデジタル化担当のBob Barr氏によるもの。(氏は前職を含め様々な企業で30年間デジタル化を担当)


 

 
*First Command Financial Servicesはテキサスが本拠店、米国の軍事関連の人員、及びその家族に金融サービスを提供する
 

 
この中でまず、意外な点ですがDXをする上で一番簡単な部分はテクノロジーそのものだと言っています。
 

 
逆に一番難しい部分は顧客の体験をいかにスムーズに、より完璧に実現すると言うことです。
 

 
何故かと言うとテクノロジーには日進月歩でいろいろなものがありますが、それを取捨選択して取り入れる事はできるということです。(筆者注:特に現在は、テクノロジーそのものは選択肢も増え、価格も安くなってきている)
 

 
ところが顧客の期待に応え、また顧客の金融機関を使う体験がより好ましいものになるようにすることは極めて難しいです。
 

 
顧客の期待としてはデジタル化されたことによって、銀行取引が

  • 容易に

  • より早く

  • 正確で

  • パーソナライズされ

  • プライバシーやセキュリティーも保護され

  • オムニチャネル、つまりネット・支店・スマホの間でスムーズに移動できる


 
そういった期待感が、暗黙の内にできているからです。
 

 
しかもこの期待に沿うことが難しいのは、そもそも顧客の期待していることが1つではないということです。
 

 
特に現在はミレニアル世代の次のGen Z、つまり現在、大学在学中か卒業直後の層が金融機関の顧客として入ってきます。
 

 
Gen Zの期待するテクノロジー体験とは、その一世代上の40歳前後の顧客のものとは違います。またテクノロジーに期待するものではだけではなく、例えば40代の、ある程度の貯蓄もできている顧客とは、銀行に対するニーズも違ってきます。
 

 
そういった色々なニーズを汲んで顧客体験を創造する必要があり、DXのベンチマークの上でも自社のDXを必ずしも同業他社と比べてベンチマークしてはいけない。
 

 
特に、Gen Zなどスマホゲームで育った世代への顧客体験を提供することを考えると、同業他社の銀行ではそれに答えていないかもしれない。
 

 
それよりも、その世代の顧客が普段使いなれているツール、例えばFacebook、アマゾン、またはTwitterなど。これをベンチマークとしてそういったツールがこの世代をどうやってエンゲージしているのか、どういった点がこの世代に好まれる要素なのか、
 

 
どうしてこの世代の顧客は銀行よりもウバー(Uber、タクシー配車アプリ)が使いやすいと思うのか、
 

 
これが、DXのゴールデンルールの顧客体験の部分であり、この考察がDXにおいてはテクノロジーそのものよりよほど難しいと、言われています。
 

 
「DXといえば紙をとりあえずデジタル化すること」では、足りなくなってきているようですね。
 

 

 

 

 

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