アジア・アフリカで「タイムマシン経営」
更新日:2021年4月23日
最近、注目されるスタートアップの1つの傾向として、先進国、特に米国で成功したビジネスモデルを他の国、地域、または特定の人のセグメントに持っていくというのがあります。「他の地域」では経済成長中の途上国、アジアや中南米、アフリカが多く見られます。
既に上場している企業では、ラテンアメリカ向けのアマゾンのようなメルカドリブレ(Mercado Libre)、それからアフリカのインターネットのジュミア・テクノロジーズ(Jumia Technologies)などがあります。
今年のY Combinatorの大規模なデモ・デイから注目されるスタートアップを見ていて、この傾向がますます強いなと思いました。例えばナイジェリアのネットバンク、Prospaなど。ネットバンクはヨーロッパや米国ではかなり飽和状態ですがまだ未開拓市場では成長性があるのかと思います。
以下、いくつか面白い例をまとめて見ました。
Prospa
近年、ナイジェリアは経済および人口が急速に成長しています。Prospa はオーストラリアの中小企業向けネオバンクですが、ナイジェリアで中小企業向けのネットバンクを展開しています。月額7$の契約で、月次収益$50,000を達成しました。これまでネットバンクは多くの市場で成功していますが、Prospaはその明確なビジネスモデルと牽引力が顕著に表れています。今後、3,700万もの「マイクロビジネス(ナイジェリアの中小企業)の顧客を見込んでいるとのことです。
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BrioHR
ヒューマンリソース(HR、人事)ソフトウェア会社のBrioHRは、いまだに旧型のソフトウェアや古いビジネスプロセスを運用している企業が、東南アジアで潜在的に多く存在するところに着目しました。BrioHRでは従業員の管理と賃金の支払いを管理するソフトウェアを優先的に構築し、月次収益 $13,000を達成しています。東南アジアにはまだ多くの潜在顧客が存在すると考えられるため、BrioHRには成長が期待されています。
BrioHRのブログでは、企業における従業員の管理運用のニーズに対応しているものはほとんどなく、依然として生産性の効率化に苦慮している。これを解決するには人事情報とそのプロセスを統一することで、人事に関する業務負担を減らすことが可能であると述べています。
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Kodo
Kodoはインド版BREXと言われ、インドの新興企業や中小企業のクレジットカード発行サービスを提供しています。同社は3月の月間収益で10,000ドル、また同期間の総取引量は68万ドルと予想されています。アメリカの投資家は、Kodoの企業価値を魅力的であると評価し、インドでの市場拡大に注目しています。
(補足)
Brex:
最低$100,000以上で口座開設し、デフォルト時には、事業主の個人資産に損害を与えず、
利用料や限度額のない完全オンライン金融サービス。
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Djamo
ファイナンシャル・インクルージョン(金融包括)は依然として発展途上国の大きな課題ですが、ここ数年はスマートフォンの普及率の高まり、データサービスの安価さ、フィンテックのイノベーションを活用して、金融包摂に取り組む新興企業が増えてきています。
アフリカのコートジボワール(Ivory Coast)で設立されたDjamoは、コートジボワールのフランス語圏の市場を対象としたチャレンジャーバンクを構築しています。
コモディティ化した基本的な銀行サービスをベースに、よりダイナミックで使いやすいインターフェースとサービスを構築し、それにスマートフォンアプリでアクセスするという、先進国ではおなじみの手法を用いていますが、これはコートジボワールではまだ始まったばかりです。
最初のサービスは、プリペイドVisaカード利用で支出管理するサービスに注力しています。Djamoのターゲットはアフリカの中でも低所得者層であり、銀行口座を保有しているのはわずか25%です。Djamoが新興銀行として今後シェアを伸ばせるか注目されています。
画像:Djamo
(補足)
financial inclusion:
ファイナンシャル・インクルージョン。
貧困層に正規の金融取引ができるように改善する解決策を提供すること。
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