投資銀行ゴールドマン・サックスがアマゾンと提携して中小企業向けローン?
1ヵ月余り前に英国ののファイナンシャルタイムズがリーク的に流した記事なんですが、米国の大手投資銀行ゴールドマン・サックスがアマゾンで販売している中小企業のセラーに向けた運転資金ローンの提供を、アマゾンとの提携で検討していると言う記事がありました。
金融機関の新しい顧客開拓方法?
これ、銀行と大手のテクノロジーブランドの提携という、金融機関の新しいマーケティングの形の始まりの一例になるんじゃないかと言う気がします。
ファイナンシャルタイムズの記事については、その後ゴールドマンからもアマゾンからも確認は取れておらず、3月には始まるかもしれないと書いてありますがその後のフォローはないです。またこれに関連していろいろなメディアで記事がいくつも出ていますが、基本的にはこのファイナンシャルタイムズの記事からの受け売りみたいな感じです。
現在、ゴールドマンとアマゾンが、アマゾンのローンのプラットフォームに向けて共同で技術開発をしていると言われます。
ゴールドマンは100年以上の歴史を持つ投資銀行ですが、消費者向けの銀行業務に参入したのはほんの数年前。したがって普通の商業銀行のような支店網がなく、何らかの抜本的な形でマーケティングを拡張する必要があるわけです。
アマゾンは、「アマゾンレンディング」と言う名前のセラー向けの運転資金ローンを既に提供しています。
こちらのページに概要がありますが、売り手の事業拡張のための運転資金をオンラインから1ページの応募で簡単に応募でき、審査を通ると基本的には5営業日以内に資金供与があるとあります。
これは同社の売り手である特に中小企業にとっては非常に有益ですが、アマゾンにとってもこの資金供与が事業拡張のための大切なツールです。
資金の主な用途は販売拡張のための在庫の確保。特に米国では年末のクリスマス商戦に備えて数ヶ月前から在庫を積み上げておく必要があり、特に売り手が中小企業の場合この資金確保がが大変です。
そこでアマゾンでは過去8年間この資金供与を自社のバランスシートをつかって行っており、2019年末の段階では、8億6300万ドルの貸出残高があったということです。
アマゾンの持っている膨大な販売データをもとに、どのセラーにローンを出せるのかと言う審査判断が、ほとんど瞬時にできると言うことです。
ただ、貸金業務は同社のコアビジネスではないためこれを金融機関であるゴールドマンとの協業でさらに拡張しようと言う戦略だと思われます。
新しいマーケティングのパターン?
冒頭に書いたように、こういったパターンが金融機関にとっての新しい顧客開拓のツールとして一般化すると思います。
銀行のローンは、特に中小企業向けの貸し出し審査は難しい。
金融機関にとっては、まずマーケティングをして顧客を獲得。その獲得した顧客候補にローンの応募をしてもらい、その後審査によって貸し出しができるかどうかと言う判断をするわけですが、このマーケティングと審査のローン業務と言う2つの業務を分けても良いのではないか。
すなわち銀行自身が非常にコストの高い支店を中心に顧客開拓をし続ける必要は無いのではないかというのが、今回の提携の要点です。
特に、アマゾンのような、膨大なデータを持ちデータ分析に優れた提携先であれば、貸し出し審査に使う売り上げ情報もデータがしっかり揃っているので審査をかなり簡素化することができる。
しかし相手がアマゾンでなくてもこのパターンの応用による金融機関のマーケティング手段と言うのは結構考えられるのではないか。
例えば地銀と、地方の有力な商店との提携により、その商店に卸しで入れている中小企業への運転資金ローンの顧客開拓を一挙に行う、などとのパターンへの応用も考えられます。
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