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米国ベンチャー企業をヒントにした新事業の発想法

更新日:2021年12月13日

新型コロナを経て成長への課題


もう1年半というより2年間に近づいてしまった新型コロナの影響も、ようやく収束に向かっているように思えます(と言うか、そうであってほしい!)


一方、最近の日経クロステックの記事によると、コンサルティング会社には、日本企業からの「新規事業開発の進め方が分からない」という相談が急増しているとありました。


こういった懸念の理由には、特にウィズコロナの状況を経て、


  • 技術革新で事業開発のスピードが早くなった

  • 消費者ニーズが変化したため、それに合わせた柔軟な開発が必要


ということがあります。


それによって、自社内の取り組みだけだと十分な変化が得られないため、他社との協業、特にベンチャー企業や海外企業との協業、またオープンイノベーションも必要と感じているが、具体的なやり方が分からない。


などの悩みがあるようです。


また一つには、コロナを経て急速にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んだ欧米企業に比べ、残念ながら日本企業の多くが遅れを取ることになってしまったということもあります。


(このあたりは、ニューヨークで企業の IT化アドバイスなどをしているコンサルタントの、イボンヌ・バートンさんが詳しく記事にしており、少し前に彼女との話の要点をブログ記事にしました)


米国ベンチャー企業の発想法


この日本企業の新規事業創出のニーズに応える一つの方法が、米国を中心としたベンチャー企業(スタートアップとも呼びます)のアイディア発想法を参考にできないかと考えています。


ちなみに新事業創出のためにはとにかく「アイデア出しをする」ことが重要と言われ、ワークショップを通じて数百のアイデアをひねり出し、その中から最も優れたものを取り入れるというような、ソフトウェアツールやビジネスモデルも発達しているようです。


それは悪いことではないのですが、ベンチャー企業の発想法の上でまず第一なのが、


「アイデアを考えてはいけない」


ことだと言われています。


こちらのブログにもう少し詳しく書きましたが、起業のアイデアを思いつく方法はアイデアを考えることではなく、まず「解決すべき問題」を探すことだと言われています。


これは著名なインキュベーターである「Y Combinator」の創業者であるポール・グラハム氏が、有名なブログ「How to Get Startup Ideas (スタートアップのアイデアの発想法)」で述べており、また他にも多くのスタートアップ経験者・アドバイザーが提唱しています。




優れた起業アイデアの三つの共通点


では、「問題解決」を元にした新事業アイデアにはどういった条件があるのでしょうか。


極めて優れたスタートアップの元となったアイデアには、大きく分けて三つの共通点があるといわれます。

  • 創業者自身に解決したい問題があること

  • プロトタイプを 自分で作れること

  • 他の人が まだその価値について気付いていないこと

マイクロソフト、アップル、ヤフー、グーグル、フェイスブックは、すべてこの3つの共通点を満たして始まっています。


このうち、最初の「創業者自身に解決したい問題があること」という項目は、今でも必須条件の一つです。なぜそれが重要かと言うと、自分自身が感じている問題であれば、それが架空の問題ではなく本当に実在する問題点であることが分かるからです。


実在している問題に取り組むのは、もちろん当たり前だと思われるかもしれません。


しかし実際には、スタートアップや既存の大企業による新事業どちらでもよいですが、多くの新事業が実際には存在していない問題を解決しようとしていることが多いのです。


一方、二番目と三番目については厳密に言うと、この必然性が現在では少し変化しているかもしれません。


まず二番目の、「プロトタイプを自分で作れること」という条件ですが、創業者本人がプログラミングできるのが絶対に必須条件かと言うと、もちろんテクノロジーのスタートアップであれば創業者自身がテクノロジーを理解しているに越したことはないですが、必ずしも自分でプロトタイピングしなくても良い条件はいくつかあります。


例としては、ビジネス系の創業者がテクノロジー構築ができる第2・第3の創業チームメンバーをリクルートし、チームを作れるようなマッチングサービスがあること。これはシリコンバレーには少なくともいくつか存在しています。


もう一つは、そもそも自分でコーディングを必要としないテクノロジーが増えてきたこと。インターネット発達当時の Web サイトであれば、HTMLコーディングをすることが必須でしたが、現在ではテンプレートを応用するか、または「ドラッグ・アンド・ドロップ」と言って既に存在するパーツを組み合わせ、ささっと簡単なアプリを作ってしまうという土台もできています。




また三番目の、「他の人がまだその価値について気づいていない」アイデアというのは、元は


First Mover Advantage


つまり先行者利益として必須であると言われ、スタートアップの創業者は自分のアイデアを盗まれないように必死で防御していたわけですが、現在では必ずしも一番最初の先行者が成功するわけではないと言われています。


例えば仲間との連携・グループを作るソーシャルメディアとしては、現在では Facebook が一番の成功となっていますが 、Facebook はこの分野の一番乗りではなく、MySpaceやFriendsterといった先行のスタートアップが必ずしも成功しなかった後で、いわゆるSecond Mover Advantage(二番手の利益)として発展してきています。


こういった時代的な変化の背景はありますが、それでも新事業のアイディアには「まずアイデア」ではなく、まず「解決されるべき問題点」の抽出が一番大事だということは変わらない問題であり、しかしこれがシリコンバレーのスタートアップまたは日本企業の新規事業を問わず、一番実行されていない点ではないかと思います。


終わりに


新しいビジネスアイデアを思いつくことは、必ずしも簡単な作業ではありません。しかし、事業の発展のためには必要不可欠であるため、このプロセスをより効率的にする方法を理解することが重要です。


ビジネスアイデアの発掘法は実に様々ありますが、日々新しいアイデアが生まれてくるシリコンバレーを中心とした米国ベンチャーの発想法を取り入れることスピードアップの一つの効率的な方法であると考えます。





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著者について

 

 

在米30+年、サンフランシスコ近郊在住の金融戦略コンサルタント。主に日本の金融業向けに米国フィンテック事情・フィンテック・ベンチャーを参考とした金融イノベーション戦略、ベンチャー提携サポートを提供。

証券・銀行・投資業務・フィンテック・ベンチャー参加を経て独立。

東京外国語大学卒業、スタンフォード大学MBA。

 

ダイエットに苦戦中。

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