フィノベートより
5月の半ばに、例年フィンテック企業の登竜門的なイベントとして行われるFinovateに参加しました。
例年はサンフランシスコまたはシリコンバレーで行われるのですが、参加といっても今年はまだオンラインのイベントで自宅から様々な基調講演やスタートアップのデモを見ることができました。
例年、オンサイトで行われていたイベントでは通常三日間に及び60から70社のスタートアップが矢継ぎ早にデモを行うのですが、今年は25社余りでデモは少し寂しい感じはしました。
しかし、こういったイベントでいつも参考になるのは金融やフィンテック専門のコンサル企業による基調講演で、いつもながらよくまとまっていると思いました。
基調講演の発表の中ではやはり、昨年1年余りに及ぶコロナの状況の中で金融機関がどう対応したか、またはこの先どう対応すれば良いかというのが非常に大きな論点でした。
例えば米国の著名な金融 DX のコンサルティング企業であるCornerstone Advisors社長による基調講演では、過去12か月間の金融業界の対応のうち、改善の余地がある項目として主に以下のようなものが挙げられています。
1)超低金利下ではほとんどの消費者は預金金利の0.1%の違いには興味がない。それよりも今の低金利下でなるべく貯蓄を増やし将来の高金利に備える方に関心が高まっている。
しかし既存の金融業界は預金金利の最適化が大事だという概念から抜けきれず、一方ゴールドマンサックスのマーカスのような消費者向け金融としては新規参入の企業は高金利よりも自動化された貯蓄ツールの提供に重点を置いている。

2)また昨年はリテールの株式取引が盛んになり、ロビンフットというリテール・オンライン証券会社などを中心とした個人投資家による株式相場の活況があった。
これについてはギャンブル的だとの非難もあるが既存の金融業界はそれを非難しているだけでは始まらず、個人顧客が何を求めているかに対応する必要がある。
例えば米国の消費者の15%は既に暗号通貨を保有しており自分の取引銀行が暗号通貨サービスを提供してくれればその銀行を使いたいと考えているが一方、既存銀行の幹部は10人中8人近くが暗号通貨サービスには興味がないと答えている。
消費者の行動を非難するのではなくこういったギャップがどこに存在しているかを突き止めていくことが、コロナからの回復に入った本年のテーマとしては肝要である。

以上、一つの基調講演のごく簡単なさわりの部分ですが今後も、気になったデモなどをまとめていきたいと思いますので是非ご参照ください。
尚、本年のフィノベートの簡単なまとめはこちらの公式ブログにも載っています。
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