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他業種からの金融参入:銀行はどう対処するのか

今回のフィノベートのアナリストによるプレゼンのうち、印象が深かったものの一つが調査コンサルティング機関であるフォレスターリサーチ(Forrester Research)による他業種からの金融参入についてのものでした。


ネオバンク・チャレンジャーバンクなどと呼ばれるフィンテックの新規参入ベンチャーからの脅威はここ数年既存の金融業界にとって頭の痛い状況です。


しかし今回のプレゼンではチャレンジャーバンクよりもむしろ 他業種、特に大手のテクノロジープラットフォーマーからの参入についての分析が印象に残りました。


オープンバンキング(またはBaaS、Banking as a Service)は数多くのチャレンジャーバンクを生み出しました。新規参入のフィンテックベンチャーの中では従来の銀行のようにあらゆるタイプの顧客にあらゆるサービスを提供するのではなく、特定のニッチ分野に絞るか、または特定の金融商品のみに特化する新規参入組も多く見られます。


新規参入のフィンテック・ベンチャーは既存の金融機関に比べリソースが少ないため特定のニッチに絞るしかないのですが、逆にこのリソースのなさと特化型であることが急速な成長に結びついている例も多い。


一方、金融業務への参入は新しいフィンテックベンチャーだけでなく既存の他業種、特に巨大テクノロジー企業・通信業界・小売業界などからの参入が近年顕著になってきました。


フォレスターリサーチで、これらの異業種の参入が独立したフィンテックよりももっと脅威であるとしている理由はこれらの業種が強力なブランド力を持ち、既存の顧客基盤も大きいためです。





また、顧客基盤の他にもう一つ競争上こういった他業種が有利になるのは、彼らが必ずしも金融業務自体ですぐに黒字化しなくても良いためとしています。


つまり、例えば Amazon で、出店企業と購買する顧客の両方に資金を提供する金融機能を追加できれば、融資自体でのリターンもありますが本業である E コマース自体にプラスになる。なので、融資事業独自では既存の銀行よりも低いレートを提示することも可能なわけです。


こういった他業種はバックエンドとして既存の金融機関、特にGreen Dot、Goldman Sachsなどと提携して銀行サービスを提供している例が多いです。


これに対して従来型銀行ももちろんデジタル業務の開発を急いでいるのですが、Forrester Research では今今のところ必ずしも成功していないと言っています。


特に最初の4~5年まではデジタル業務からの収益が上がらず、しかもケースによっては顧客もデジタル機能の価値に気づかないこともある。



出所:Forrester Research


これに対する一つの対策としては、早急にコラボレーションやパートナーシップを通じての協業に慣れていく必要があるとしています。 オープンファイナンスの時代にはどの銀行も単独では成功しないため、テクノロジー・顧客基盤を早急に獲得するための異業種コラボレーションが必要と言うことでした。



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著者について

 

 

在米30+年、サンフランシスコ近郊在住の金融戦略コンサルタント。主に日本の金融業向けに米国フィンテック事情・フィンテック・ベンチャーを参考とした金融イノベーション戦略、ベンチャー提携サポートを提供。

証券・銀行・投資業務・フィンテック・ベンチャー参加を経て独立。

東京外国語大学卒業、スタンフォード大学MBA。

 

ダイエットに苦戦中。

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