「眠り」を解決するベンチャーたち
更新日:2021年12月13日
近年、睡眠の大切さがとみに注目されています。これは睡眠時間の絶対的な時間だけの確保だけでなく、睡眠の質も何とかして向上させたいというものです。
Photo by Alexander Possingham on Unsplash
一昔前は睡眠時間を削って働くとか、睡眠時間が少なくても大丈夫だ、と言うのを自慢するような風潮がありました。もうずいぶん前ですが、お父さんは24時間働けますか、なんて言うコマーシャルもありました。
これは日本だけではなく、アメリカでも実は、90年代頃まではバリバリのビジネスマンは睡眠時間が短くてもできるのがしまう、というような風潮もありました。
これが近年変わってきました。ひとつは科学的な計測が発達したことによって、睡眠時間が短い人は必ずしも昼間の能率が上がらないため、実は必ずしも全体としての生産性が良くないと言うことがわかってきたこと、それに、すごくイノベーティブな経営者やベンチャーの創業者でも、実は自分は8時間眠っている、ということを逆に自慢している方が増えてきたこともあると思います。
そこで今回は最近の睡眠に関するスタートアップなどをまとめてみました。
「睡眠+テクノロジー」の市場規模は年々上昇しています。アメリカ発のさまざまな企業が今現在注目を集めています。2017年から現在にかけ、年々投資家達からの興味、それに伴う投資金額の上昇により多くの企業が「眠りを解決する」分野に参入しています。
この5年間でもいくつかのスタートアップが睡眠にテクノロジーを起用、健康的な眠りを提供できるようさまざまなチャレンジをしています。
基本的には7−8時間の睡眠時間を取ることが望ましいとされていますが、誰もがそれだけの睡眠時間を取れないこともあります。そこで、例え最適な睡眠時間を取ることができなくても十分な深さの睡眠を取ることができるようテクノロジーを通し、睡眠を改善しようとさまざまな企業が参入しています。
Crunchbaseのデータによると2016年以降、合計$1.9 Billion(日本円で約2000億円程度)が睡眠技術や機器に特化したグローバル企業に投資されています。
Sleep Numberという企業は1987年創業の米国企業ですが、2016年に睡眠の質向上のため、”Sleep Number 360 Smart Bed”というマットレスに人の動き、圧がかかる場所等の睡眠の質を追跡し、可視化することで睡眠の質の改善を手助けしており、また2020年1月には睡眠科学と心血管医学の発展のためにメイヨー・クリニックとの協力関係を結んでいます。
画像:Sleepnumber
一方、ここ1年間の大規模な資金調達はヘルス・ウェルネスをモニターする企業が多く、Cueは、日々の活動・食事・睡眠等の情報を分子レベルで追跡し人々の健康増進の手助けをする企業です。Whoop社は2020年10月にシリーズEで1億ドルの資金を獲得しています。
これらの企業はまだ現時点では「市場の表面を引っ掻いた程度」であると言われており、市場価値と今後の発展性は限りなく大きいと考えられています。我々は睡眠の質向上のため、毎年約$430 Billion(日本円で約47兆円)ほどの金額を投資ししていることを考えれば、この分野に関する将来性、発展性はまだまだあると考えられます。世界の「睡眠市場」は2024年までに$585 Billion(日本円で約64.5兆円)ほどまで増加することが見込まれています。
さらに、メディアで有名なHuffington Postの創業者Ariana Huffington氏が創業者として参与しているThrive Globalという企業は彼女の私生活の眠りに対する悩みを解決すべく創業され、2016年以降約$50 Million(日本円で約55億円)を資金調達しており、注目を集めています。
「睡眠テック」(という造語がまだあるのかはわかりませんが)はまさに「ブーム」状態となっており、さまざまな企業が参入・投資をしており、先ほどの例のAriana Huffington創業のThriveはアマゾン傘下のオーディオブック企業、Audibleと提携、睡眠しやすくするストーリーや瞑想を導入。
このように世界でも有数な企業から業務提携を受け事業を行うほど注目されているぶんやで、さらに「睡眠トラッキング」など新技術の開発も進んでいる分野です。
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