リアルとEコマースの融合、「クリック&コレクト」の大手成功例とは?
更新日:2021年5月5日
2020年はコロナによるロックダウンや、店舗での感染を恐れて客足が鈍ったりと言う影響で、既存の小売業界の大部分にはかなり苦しい年、逆にeコマースは飛躍を見せた年でもありました。
その中で、実はEコマースと既存店舗の長所を組み合わせた、「クリック&コレクト」と呼ばれるコマースの形態(別名はBuy Online Pickup in Store、BOPISともよばれます)は売上げが2倍以上となる急成長を遂げました。
また予測では今後4年間で2けた台の伸びを維持すると言われています。
この、クリック&コレクトのブームを牽引する米国の小売7社のについての記事がありましたので簡単にまとめてみました。
Photo by Korie Cull on Unsplash
【記事要約】
2020年、米国でのクリック&コレクト(Eコマース & 店舗等での引取)ビジネスは売上高が2倍以上となる成長を遂げ、最新の予測では今後4年間で2桁台の伸びを維持する見込みです。昨年のクリック&コレクトの売上高は、概算では$72.46 billion(日本円で約7,820億円、EC全体の9.1%に相当)に達しており、今年は$83.47 billion(約9,016億円、同9.9%)にのぼると予測されています。
こうしたサービスを提供する大手マルチチャネル小売業者7社(Walmart、The Home Depot、Best Buy、Target、Lowe’s、Macy’s、Nordstrom)の2020年の売上高合計は$46 Billion(約4,969億円)超で、全米のクリック&コレクト売上高の64%に当たります。同分野における米国での昨年のビジネスは、この7社の動向を見ればわかります。
7社のクリック&コレクト売上高の合計は、2020年に前年同期比で128.4%成長し、またそのうち数社が、年間を通じてデジタルパフォーマンス指標で驚異的な数字を継続的に発表していました。
Target社の場合、「ドライブアップ(車に乗ったままでの店外商品引取)」による売上が第2四半期に734%もの飛躍的な成長を遂げ、第3四半期にも前年同期比で500%という堅実な成長を維持しました。
同社の2種類の商品引取方法のうち、従来型の店内引取も、カーブサイド(店外引取)への圧倒的なシフト傾向にも関わらず第2四半期、第3四半期にそれぞれ60%、50%を超える成長を見せました。
消費者が両方の選択肢に慣れてきたことで弾みがつき、2021年3月に公表された同社の2020年度年間収支報告では、ドライブアップで600%超の売上増、店内引取で70%超の件数増加が報告されています。
総じてこうしたデータポイントから読み取れるのは、これらの大手小売企業ではクリック&コレクトがEC全体の3割を優に超える売上をたたき出しているということです。「ビッグファイブ」と呼ばれるクリック&コレクト小売業者5社(Macy’s、Nordstromを除く)では、昨年、顧客による引取がEC売上高の41.9%を、また、EC売上増の50.2%を占めました。
画像出所:eMarketer
【要約終わり】
では消費者側はどうして「クリック&コレクト」を使うのでしょうか?
その理由は主に以下の通りです。
消費者は、発送を待つ必要も、荷物を受け取るために家にいる心配もなく、好きな時に好きな場所で商品を受け取ることができる便利さを好み、オンライン上で注文し店舗で受け取る「クリック&コレクト」を使っている。買い物客の50%は、お店の受け取り方法を参考にして買い物先を決めているといわれる。
その他、理由の割合は以下の通り。
77%が家に持ち帰る前に商品を見ることができることを楽しみにしている
65%が配送料を節約したいと考えている
29%が利便性のために選んでいる
23%は商品をすぐに返品できることを好む
また、小売店舗側は「クリック&コレクト」を取り入れることによる、目に見える効果としては以下のようなものが期待できます。
まずは、商品受け取り時に店頭での購入を促進することで収益を増加させられる。この調査では、49%ものお客様が店頭で商品を受け取る際に追加購入をしていることがわかりました。
配送コストとカート放棄率の低減。オンラインショッピングのカート放棄の約60%は、高い配送料が原因であると言われています。
お客様の利便性を向上させ、満足度を高める。お客様が都合の良い時にオンライン注文を取り出すことができる。
77%の小売業者が、BOPISを導入したことで返品量が減り、返金処理や商品の再入荷にかかるコストを削減できたと回答しています。
これまでは前述の5社のような、大手流通企業が主に「クリック&コレクト」を導入してきましたが、中堅の店舗向けに比較的簡易に導入できるシステムも開発中であり、多くの小売店が導入できる日もそれほど遠くないと思われます。
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